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DETAJ interview is now on SOME/ THINGS

SOME/TALK : TAKAYOSHI YAMANAMI, DETAJ

A PROFOUND TOUCH OF DETAJ

more at someslashthings.com
 
Special thanks to Yuki Takahashi for welcoming me into DETAJ’s world.
All images courtesy DETAJ
Text & interview by Marlo Saalmink | S/TUDIO
www.marlosaalmink.com

 

 

A PROFOUND TOUCH OF DETAJ

クラフトという言葉はあまりにも安易に使われていた。
そして、人々は真のアルチザン(職人)の手から生まれ出した物の中に秘められた謎めいた力を忘れていた。
しかしながら近年になってようやくその魅力が誠実に理解され始めてきた。
Takayoshi Yamanami – DETAJのエレガントなコンダクターは物静かに一言一言を熟考しながら心から語る。
彼はいつサイレントであるべきか、世界にどのように耳を傾けるべきかを知っている。
大阪の中心部から離れた場所に位置するアトリエにて試行錯誤を重ねている彼の継続的な忍耐の中に多くの美を見ることができる。
彼にとってクラフトとは自身を語る手段なのではないだろうか。

 

 

 あなたの生い立ちを教えてください。
何があなたをクリエーターへと導きましたか?

 

幼少期、旋盤工の父の工具箱をあさっては古くなった釘で鉛筆を削るナイフなど作ったりしていました。ハンマーで叩いてのばしたりヤスリで削るなどの感覚はその時に覚えたように思います。

何にでも興味を示す子供であった私は、それが楽しくて何本も作ったのを記憶してます。
大学卒業後ファッションに興味を持ちだした私は神戸で靴の会社に就職しましたが、自分には合わなかった為1年でやめました。次のステップとして私がとったのは友達がはじめたショップ(当初は雑貨屋でしたが、次第にいわゆるセレクトショップのような形態になっていった)で働き始めることでした。そこでは仕入れ先のない状態からの試行錯誤を経験し、その結果ビジネス業務と経営を学びました。
もちろんバイイングもしていましたが思ったジュエリーに出会えずジュエリーを作り始めました。最初の作品は無機質なアルミニュームにハンドで刻印しシェープしたごく小さなコレクションでしたがとても大きな反響がありました。それは私にとって大きな喜びでした。
そして1995年の神戸大震災が私にとって大きな転機となりました。
震災の影響で今までの仕事を続ける事が出来なくなり、一からショップを建て直す事も考えましたが破壊された神戸の町並みを見て何かを作りたいという思いが強くなり私は作り始めたジュエリーのブランドを本格的に立ち上げる決心をしました。これがDETAJの始まりです。

 

 

大阪. 困難の時を乗り越えて、自分のベースとなる場を見つけたその過程を教えてください。

 

私のクリエーションを最初に受け入れてくれた町が大阪です。神戸と大阪は近いのですが性質の違う町で、彼らの気さくな性格や個性的なものを好み新しいものを受け入れる土壌のあるこの大阪にベースを移すことにしました。
私はあまり雑踏は好まないので町並みから逃れた歴史的な橋のたもとにアトリエをつくりました。
北浜と呼ばれるこのエリアは歴史的な建物も多く残っており町の雑踏から外れた静かなエリアでこのロケーションがとても好きです。
経営するショップ(24th of August )の奥に入った穴蔵のような小さなスペースが私のアトリエです。
制作に必要な最小限の工具と実験的なサンプルなどが雑然と入り交じった15平米ほどの小さな空間です。私の作業台からほとんどの物が手の届くそんな感じの空間です。私にとってはとても集中出来る空間です。

 
 

未知の場からの新たなスタートによって沢山のことがビジュアル化されたのではないでしょうか。
今居る環境からインスピレーションを得ますか?

 

私のアトリエから見える歴史的な橋になぜか異様に覆い被さるように作られた巨大な高速道路の架橋そして川の水面の反射のコントラストや質感がとても好きです。私の持つ質感や量感はそこからかなり影響を受けているかもしれません。
ほとんどの時間をアトリエと自宅で過ごします。しかし回りの人たちはとても個性的なので彼らの企画したイベントや展示会などにはよく行きます。ほとんどファッションに関する人はいません。建築家、インテリアデザイナー、料理人、家具職人、税理士、など様々ですがそこには共通の美意識や価値観がちゃんと存在しておりそういった日常の平穏のなかのふとした感覚や気づきがインスピレーションになります。
 
 

あなたがつくりだす作品は長い過程の後生まれます。どのようにしてジュエリー製作のスキルを学びましたか?又、新しいテクニックが生み出されていくのですか?

 

ジュエリー製作は全くの独学です。作りたいものを形にするために最小限の道具を揃え試行錯誤の末、形にして行きます。試行錯誤の断片が新しいテクニックを導いてくれます。私の作業デスクの引き出しには沢山の様々な失敗作の残骸が山のように転がっています。行き詰まるといつもそのクズを探ります。こういった断片の蓄積こそが新しいテクニックを生む源になっています。
残骸には何度くらいで熱し、どのハンマーで叩き作ったかのプロセスが様々な記憶と共に残っています。それをたびたび見返す事によりその時の時代背景や感覚ともリンクします。そういった重なりが何を選択するべきかの大きなヒントへと繋がります。
 
 
私にとって、一番目をひいたのはバンデージスタイルのリングです。アトリエで実際に仕事をしていた際に巻いた本物のバンデージからインスピレーションを得たとのことですがそのアイデアの段階からファイナルプロダクトへの過程を教えてください。

 

私は作業中のけがの際やプロテクトのためよくこのテーピングに使うバンテージを日常的に使っています。この色や質感や使用感や皺感がもとても好きでした。バフ掛けのあとの黒く汚れたそれもとても好きでした。ある日衝動的にスカルのオブジェにバンテージを巻いたのですがそれはとても美しく私の指に巻いたバンテージがより美しく感じ私は即座にバンテージのジュエリーとして作る事をはじめました。
指に巻き付けたテンションや曲げた時の皺感なとの美しさを表現するため自分自身の指に巻き付けフォルムを作ります。間接に着ける不自由な動作も拘束の美しさを作ります。
この美しさの本質は身体との融合にあると思います。最も重要なのは指との一体感と質感です。それを出すために出来る限りバンテージの白を再現しました。同様に使用感のある黒く汚れたバンテージも制作しました。

 
 
パリで仕事の過程が詳細に描かれたビデオを拝見しました。メタルに施すトリートメントをどのように決めますか?又、プロダクトは最終的にどのようにかたちづけられていきますか?

 

まず、マテリアルの選択とトリートメントはそのオブジェクトの性質を決定づける物なので素材との対話は最も時間をかける作業です。
金属の持つ美しさや新しい質感やフォルムを見出だすには金属の特性を熟知理解しなければいけないので試行錯誤を幾度となく繰り返します。
レザーなどの組み合わせの場合も全体のバランスと強度を十分に考慮に入れなければ使用には耐えられません。相反する素材の個性と強度への考慮が機能美へと繋がって行きます。
トリートメントを施す事により作品に最終的な個性があたえられます。ほとんどの場合、制作過程にそのヒントが隠されています。
私は物の美しさや成り立ちは金属に限らずこの地球の一定の法則によって形づけられていると思います。単純に言えば重力や空気抵抗のような物で普段意識していないものです。例えば洋服の美しいドレープも重力がなければ出来ません。そういった大きな力を意識し受け入れる事が必要だと考えます。そういった物に逆らわず素材の声を聞く事で最も美しいテキスチャーが得られると思います。
 
 

ジュエリーとは感覚を誘引する装飾物です。あなたはDETAJのジュエリーと人間の関係性をどのように見ますか?

 

たしかにジュエリーは感覚を誘引するものです。人はジュエリーを着けるという行為自体に特別な感覚を伴います。デザインや質感そのものを受け入れた瞬間からそのものに人は何かの価値を植え付けます。またその逆も。
約束の証、権力の象徴、スタイル、、、様々な形がありますが、私にとってDETAJは装飾物というよりは傷や皺のようなもの様なきがします。内面や記憶に近い感覚の物になればと考えます。

 
 

あなた自身と自身のデザインはどういう関係性だと思いますか?

 

私のデザインはとても個人的なものであると思いますが、私は普段ジュエリーを着けません。ある特定の誰かのためにデザインをしている訳でもないので様々な要素の重なりからそれは環境や状況が有機的に結びつき成長し私自身の感覚と共鳴しデザインされて行きます。有機的に繋がっていてそれは連続性を伴います。
人生において何が必要であったか?そのとき何を選択するべきであったか?自分自身の本質はどこにあるのか?そういった自分への問いかけともにデザインしています。

 

 

DETAJの一点一点からからクラフトマンシップを感じます。あなたにとって真のアルチザンとはなんですか?

 

手の中から生まれてくる物に大きな価値を感じます。ほとんど機械的な制御を受けず手先の感覚や経験により頭の中のイメージを素材との対話の中から一つの形に仕上げて行く行程に制作者一人一人の個性や美意識が色濃く反映されます。
そういったプロセスや情熱そのものがアルチザンではないでしょうか?

 

 

私もその意見に強く共感します。
最後に、あなたの心情を教えてください。クリエイターとして語りたい方ですか?それともサイレンスを好みますか?

 

難しい質問ですが、どちらかというとサイレンスを好みます。
私は20年間ジュエリーを作り続けて来ました。多かれ少なかれそういった作品が何かを語ってくれると信じています。
物を見た時の感覚は人それぞれの環境や状況により異なります。ただ物の持つ美しさや本質のみが雄弁に語るのではないでしょうか。